縁起のいい食べ物

日本人のゲンを担ぐ習慣は、今も昔も変わりません。古くは戦国武将や歴史に名を残す大物政治家はもちろん、IT化の進んだ現代の私たちにも、その習慣は根強く残っています。
とくに人生の大きな節目となる入試を控えた受験生や採用試験、大きな商談を控えたビジネスマンも縁起を気にしたり…。
そこで今回は「縁起のいい食べ物」に注目してみました。
お節料理は縁起の宝箱

縁起のいい食べ物といえば、その代表格はお正月に食べる「おせち」。
きんとんが金の団子や金の布団を指す言葉として金運上昇の縁起物と言われる「栗きんとん」。日に焼けて黒くなるまで元気にマメに働ける「黒豆」。喜ぶに通じる「昆布巻き」。子孫繁栄と二親(両親)健在に通じる「数の子」。形が巻物に似ていることから、知恵が増して賢くなる「だて巻」。
先の見通しがよくなる「れんこん」。長いひげと曲がった背中がお年寄りを連想させる健康長寿の縁起物「エビ」。五穀豊穣を願う「田作り」など、まさにおせちの重箱は縁起物の宝箱です。
おせち以外にも、細く長く生きられるように願って食べる「年越しそば」やめでたいの語呂合わせ、縁起のいい紅白色、はじめから終わりまで全うするという「タイの尾頭付き」は縁起のいい食べ物の筆頭株といえます。

勝負めし
そして、合格を目指す受験生や出世を願うビジネスマンがここぞという勝負の日に食べるものをピックアップしてみます。
筆頭はカツ丼やとんかつ、言わずと知れた「勝つ」の語呂合わせ。豚肉にはビタミンB1が豊富で、疲労回復などの効果がきたいできます。またとり天は「取り点(点を取る)」の語呂合わせから受験生に人気の縁起物。

他にも出世魚のブリやボラやサワラ、「勝つ男」と書けるカツオ、英語の勝者(winner)に音が似ているウインナー、「良縁が結ばれる」「良い結果に結びつく」「努力が実を結ぶ」など学業や仕事に関して縁起がいいおむすび、特に頂点に神が宿るといわれる三角おむすびが良いとされています。

最近では、「きっと勝っとぉ!」としてチョコ菓子のキットカットや「カール、受か~る」の語呂合わせでカールなどは受験生応援のお菓子として有名です。

いかがでしたでしょうか、今回の縁起のいい食べ物の話。日本人は他の国に比べてキリスト教やイスラム教の影響が薄く、古くからの民俗信仰としての「ゲン担ぎ」が守られてきたこと。また言葉は霊的な力を持つという「言霊信仰」という思想があり、語呂合わせや駄じゃれからくる縁起物も多いといわれます。もちろん、旬のものを食する文化や滋養のある食物を伝えるというものも少なくありませんが、いずれにしても、大事を前に、おなかも心も満たされようという思いが大切にされてるのではないでしょうか。
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