<ヒット商品考察>通信販売の歴史
あなたは通販サイトを利用していますか
有名な通販サイトといえば、Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングなどが思い浮かぶと思います。
今や物を買うのは実店舗より通販サイトを利用するという人が増えているほどで、こうしたサイトには「24時間好きな時に買い物ができる」「重い物も自宅まで届けてくれる」「遠い地域の商品も簡単に手に入る」というメリットがあります。
一方でデメリットとして「実物確認が出来ない」「品物が届くまで不安」「サポート面」を気にする人もいますが、企業努力によって、試着サービスや動画紹介、返品保証の充実が図られ、そうしたことも改善されてきているようです。
こうした通販サイト、インターネットやテレビが誕生するずっと以前から「通信販売」という呼び名で存在したのをご存知でしょうか?
通信販売はアメリカが発祥
通信販売は19世紀のアメリカで発祥しました。具体的には、1872年にシカゴで発行されたMontgomery Wardという企業によって始められました。

Montgomery Ward
これは、商品カタログを使って商品を遠隔地の顧客に販売するという形態でした。
この背景にはいくつかの要因があります。
農村地域へのアクセスの向上
当時のアメリカでは、都市部から遠隔地の農村地域に商品を届けるのが難しかったため、カタログを通じて商品を直接注文できる仕組みが求められていました。
鉄道網の発展
アメリカでは19世紀後半、鉄道網が急速に発展しました。これにより、商品を効率的に全国各地に運ぶことが可能になり、カタログ通販の基盤となる物流インフラが整いました。
消費者の多様化とニーズの変化
都市化や西部開拓の進展により、消費者のニーズが多様化し、特に農村部ではショッピングの便益を享受する手段が求められていました。
企業は消えても優れたビジネスモデルは残る
Montgomery Wardは商品カタログを毎年発行し、農村部や小さな町に住む顧客に家庭用品、衣料品、農機具などを提供しました。このビジネスモデルは大成功を収め、競合他社も次々とカタログ通販を開始しました。
競合他社としては、セシル・ビアードによって始められたシアーズ・ローバック(Sears, Roebuck and Co.)が有名ですが、元祖モンゴメリー・ワード社は、1900年にシアーズ・ローバックに売上トップの座を明け渡し、その後もシアーズに先んじることはありませんでした。
このようにして、アメリカで始まったメールオーダー販売は、効率的な物流システムや広範な市場へのアクセスを提供し、後には電話やインターネットといった新たな技術の発展とともに進化していきました。